10年ほど前から市街地に出没する様になったヒグマの件。
昨2022年、とうとう市街地に出没したヒグマが人を襲ってしまいました。
ヒグマは市街地に出没して、市民、警察、報道関係者の注意を引いてパニックに陥っていました。
気づかずに歩いていた人を背後から襲い掛かり、ほうぼうに噛みつきました。
襲われた人は多岐に渡る治療を受けましたが、幸い命に別状はないということでした。
襲った熊はその後駆除されました。
しかし、2022年は札幌市内だけでも複数のヒグマ出没が目撃されています。
そして、本年2023年は更に多くの熊が目撃、そしていとも簡単に確認されました。
人間社会を怖れなくなり、大胆にも露出度も上がったということです。
ヒグマは元来、慎重で人目に晒されない様に藪に隠れて行動する動物です。
しかし、2023年のヒグマは大胆です。
6月には一度に目撃されたヒグマ5頭という驚きのニュースもありました。
内訳は、雌に子3頭連れに、それを追う雄1頭の合計5頭ということです。
ヒグマは本来、雌が子育てをして育てられるのは1頭ですが、この雌はなんと3頭の子の面倒を見ているのです。
通常、雄のヒグマは単独行動であり、繁殖期には雌のヒグマを求めて行動範囲を拡げます。
雄グマは繁殖行動をとるために子熊を襲い、殺害します。
雌のヒグマは子熊を守るために雄のヒグマから逃げたり、格闘することもあります。
この3頭もの子を抱えた雌のヒグマにとって、雄を回避する行動はとても難しいことだと考えられます。
そのために比較的安全な市街地に出てきている可能性もあります。
一方、本年は凄惨なヒグマ被害事件がありました。
5月、朱鞠内湖の湖畔にて、釣り人がヒグマに襲われ食い殺されました。
『ヒグマは人を避ける』と言われていましたが、現場検証の結果から熊の方から人間に接近してきたらしいという痕跡があるようです。
この事件は北海道に住んでいる多くの人たちにとって衝撃です。
朱鞠内湖の事件では、熊の生息域に入っていったことによる事故です。
一方、札幌でのリスクは市街地に出てきた熊による被害です。
北海道での熊の市街地出現の主因として、昨年までは『森林と市街地の緩衝地帯が無くなったこと』とされていました。
しかし、本年の専門家による調査報告によると、『熊が市街地に頻繁に出現する様になった理由は、20年前からヒグマ保護のために計画駆除が行われなくなり総個体数が1.5倍に増加したため』となりました。
札幌市街地に頻繁に目撃されているヒグマの処置は、『駆除』を前提に行われるということに決まりました。