食アレルギーの対応

ホテルの宴会場設営のひとコマです。

宴会場設営の業務は、大広間に宴会テーブルを配置し、配膳するという内容です。

調理室から宴会場までのワゴンでの運搬も含みます。

食事を用意する作業係は、3つの部署が行います。

調理師、設営運搬係、配膳係があり、これらの係が一連に作業を行います。

大宴会場の食事ですから、大規模で300人分を用意することもあります。

大変なのはやはり調理係です。

当日の前に、材料の仕入れ、事前の仕込み、調理の人員配置に時間配分などをうまく計画しなければなりません。

当然、調理係が中心の組織体系です。

調理係には常に緊張感があり、設営運搬係、配膳係から見れば時に意地悪に見えるところもあります。

それはそうです、運搬係や配膳係が事故で配膳をひっくり返すことなどもあり、

そんなことをされた日には、調理係としては数日前から仕込んでおいたものが台無しなのですから。

それに留まらず、欠損分を宴会の時間に間に合わすべく突貫調理を行う必要も出てきます。

例えば、私が知るもっとも悲惨な配膳運搬事故は350人分の食事運搬について、150人分の配膳がワゴンでの運搬中にひっくり返したものです。

このような事故でも他人のミスは一手に調理係が尻拭いして埋め合わせるしかないのです。

そんな事情があり、調理係には余裕がなく側から見れば大概に不機嫌であり、他の係は調理係の顔色を見ながら作業を行なっています。

ある夕食の宴会場設営の出来事です。

この日は高校の修学旅行が宿泊し、夕食に150人分の食事を宴会場に設営します。

修学旅行の一行はだいたい事前に食物アレルギー持ちの種類と人数を連絡しています。

この日は3つのアレルギー種の人がいたので、それぞれの代替え料理が用意されていました。

その日の夕食では配膳係がネギアレルギーなのにネギを使っているので代替えをする必要があることを発見しました。

配膳係は作業中だという理由から、運搬係から調理係へ伝えてほしいとの要望がありました。

ややこしくなりそうな内容なので配膳係が直接伝えて欲しいと思いながらも引き受けました。

これこれという内容で、忙しい調理長に伝えたのです。

運搬係A『ネギアレルギーなのに玉ねぎ料理になっています。』と。

調理長『ネギアレルギーだから長ネギを外した調理をしたんだ。』

運搬係A『しかしネギアレルギーですから、玉ねぎはだめなのでは?』

調理長『 ん? 玉ねぎがダメなのか、長ネギがダメなのか一体どっちなんだ?』

運搬係A『私に聞かれても…』

調理長『ネギアレルギーだから長ネギだろ!? 大丈夫だ!』

ということでした。

この場合、ネギアレルギーは玉ねぎなのか長ネギなのか、ネギ科の植物全てなのかを事前に調べておくことが必要なのでした。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です